三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2019年7月21日

『オウサツキッチン0032』は、海女と漁師のまち相差が100年後も相差らしくあるために今出来ること、海女と漁師を守っていくために今、私たちが出来ることをする場所。
相差漁港で水揚げされた新鮮な雑魚のフライやこの地域ならではの飲み物を提供するテイクアウト、イートインのお店です!

海女の町・鳥羽市相差に祀られる『神明神社』の石神さんは、女性の神様。
海女さんたちが漁の安全、大漁を祈願しつづけてきたことから、女性の願いを一つ、叶えると言われるようになりました。
スポーツ選手や芸能人がお忍びで通うことでも知られています。
朝から多くの人が訪れていますが、土日曜日はもっとたくさんの参拝客が来るそうです。

 

こちらは石神さんの参道。
2019年5月、『海女(Ama)に出逢えるまち 鳥羽・志摩~素潜り漁に生きる女性たち』が文化庁が認定する『日本遺産』に認定されました。
その『日本遺産』にも認定された『海女に出逢えるまち・相差』で今、話題のグルメ、スイーツを出すお店があるというのでさっそくお邪魔しました。

 

それがこちら『オウサツキッチン0032』!とってもおしゃれな外観ですね!
こちらではテイクアウトとイートインが可能。

 

『オウサツキッチン0032』は、地元の町内会・観光協会・漁協などでつくる『相差海女文化運営協議会』が、農林水産省の交付金を活用し、空き家を改装して今年4月にオープン。
店内の天井は船底をイメージしています。

 

「『オウサツキッチン0032』のコンセプトは、石神さんのことは知ってるけど、相差町のことを良く知らない方が結構見えるので、もっと良く知ってもらおうというものです。
『0032』は番号は『オ・ウ・サ・ツ』という意味と、郵便番号の下四桁が0032なことからです」

と、店長の服部悠子さん。
そんな服部さんに、こちらの看板メニューをお聞きしたところ・・・。

 

登場したのが『とばーがー』にも認定された、こちらの『ザコフライサンド』500円!
猟師さんが獲った魚で、同じ種類が少なかったり大きさが不ぞろいで遠方への出荷が難しい魚が『雑魚(ザコ)』と呼ばれ、地元で消費されています。

 

商品価値はなくても、味がいいのが雑魚!
地元の漁師さんたちが消費してきた海の恵みをお店で調理。
熱々を頂くことが出来ます。
また、その日使っている魚をイラスト付きで紹介!
この日は、カワハギに、ホウボウ、タイ・・・豪華ですね~!

 

衣には、相差の海女さんがとった天然ワカメが練り込んである為、ほんのりと磯の風味を醸し出しています。
パンは鳥羽市の菓子店『Blanca(ブランカ)』のコッペパンを使用し、具材にも相差でとれた野菜を使用。
コーヒーは、鳥羽市のコーヒーショップ『Musea(ミュゼア)』の豆をつかています。
とても香りがよく、ザコフライサンドとの相性も抜群です!

 

相差町内会会長の中村幸照さんに、『オウサツキッチン0032』開店への流れについてお聞きしました。

「石神さんへの参拝は、年間約20万人。
『相差海女文化運営協議会」』では神明神社を中心に、日本一現役の海女が多いまちとして『相差海女文化資料館』『海女小屋 相差かまど』『海女の家 五左屋』など、『海女文化』を保全・継承し、価値を高めていく活動を進めてきました。
『オウサツキッチン0032』に関しては、今から10年先の相差を背負っていく若手を中心に、いろいろなアイデアを出して考えてもらいました」

 

『オウサツキッチン0032』の企画を練り上げたのは、相差の未来を担う若手メンバー『OMI(オー・エム・アイ)』、相差の未来を考える『相差未来委員会』。
相差の若手メンバーを中心に結成し、昨年から月に1~2回のペースで集まり、店舗のイメージ、メニューなど、会議や試作を何度も重ねて生み出したのが『オウサツキッチン0032』なのです。

 

「相差の若手の経営者や後継者の方が中心になって、持続的に観光客を相差に来てもらう為にどうするべきなを、具体的にメニューに至るまで考えてくれました。
みなさん相差の未来を真剣に考えてて、いろんな意見も出て、とても頼もしいです。
提供するものも相差で採れたものが中心なので、相差の食文化やまちをPRできていると思います」

と、鳥羽商工会議所の小﨑則彦さん。

「私たちが頑張って、若い子たちへ道を作ってあげたらいいかなと思って参加させてもらっています。
『オウサツキッチン0032』は木の温かみが何かいいんかなと思う。
若者にあっているようなデザインという感じで、僕はとても好きですね」

と、OMIのメンバーであり、建設業の中山祐樹さん。

「相差の今後への危機感から、若く同じ思いの人たちが集まり、何か新しいことをしていこうと集まりました。
みんなの意見が反映できているから、『オウサツキッチン0032』が形になって出発したことには、とても強い思いがあります」

と、同じくOMIのメンバーで、旅館業の世古由美子さん。

 

客足が落ち着いた午後。
お店である仕込みが始まりました。
なんと地元相差の海で海女さんが採った天草をぐつぐつ煮込んでところてんに!

 

地元の食材にこだわり、若手メンバーのアイデアで誕生したのが、、この『レインボーところてんサイダー』!
カラフルで涼しげ・・・まさに夏にふさわしいメニューです!
ソーダのシュワシュワ感と、ところてんの食感のコントラストがとても良いです!

ちなみに現在はランチメニューがないため、シーフード入りのスパイシーカレーを考案中!
楽しみですね!

「石神さんの神明神社にお参りして、ちょっとランチもできたら、ゆっくり観光がしてもらえます。
お客様にくつろいでもらえて喜ばれるお店にしたいですね」

と、服部さん。

「若者に集まって来て欲しいんですね。
町外に出ている人たちにも、自分たちのまちで面白いことをしていると知ってもらい、帰ってって来てもらえてたら嬉しいですね」

と、世古さん。

「相差が一番、現役の海女が多いので『海女のまち・相差』をアピール、来てもらって満足してもらえるような地域づくりをして相差を発展させていきたいです」

と、小崎さん。

「浸透するまではまだまだだと思うんですけども、田舎の町に変わった建物であったり、デザインであったり、名前であったりですね、いろんなアイデアを出して楽しんでもらえるよう、まちづくりが進んできとるかなと、思っています。
これを契機に更にです『海女の町』の活気を町全体に浸透していけるように進めていきたいと思っています」

と、中村会長。

石神さん参りの後は、絶品!『ザコフライサンド』と爽やかな『ところてんサイダー』を、ぜひどうぞ!